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30代の頃の私は、夫の転勤で地元を離れていた。
地元を離れても、何人かの友人とはメールで近況を
報告しあっていた。それは慣れない土地で暮らす私に
とって、ささやかな楽しみのひとつであった。
あるとき、友人の一人からメールが届いた。
その内容は、友人のお子さんのクラスに
発達障害の子がいること、そしてその子が
近くの席に座っていた友人のお子さんに暴力を
ふるったとのことであった。
幸いケガはなかったようなのだが、ノートや教科書を
鉛筆で刺されてズブズブにされていたようで
友人はそれを見てかなり頭に血が上ってしまったようだった。
後日担任とその子の母親が家まで謝りに来たそうだが
彼女は許せなかったようだ。
どうしてこんな危ない子どもを一般の小学校に通わせ、
普通学級に入れておくのか、こんな子は普通の子ども達と
一緒に過ごさせないでほしいと激しい言葉で書いていた。
さて、どんな返事メールにしたらよいものか、と考えた。
彼女の気持ちはよくわかる。
彼女のお子さんが遭ったことは、私の子ども時代の
日常であったから。
でも、発達障害の子の母親の気持ちもわかる。
それは、普段から目にしていた私の母の日常であったから。
彼女は私の下弟のことは知っている筈だった。
しかし、ただ、知っているだけなんだ、とその時初めて思った。
私の友人は私の結婚式の時に下弟に会っている。
下弟は、ビデオカメラを持たされてずっとビデオを撮っていた。
母がよぉく言い聞かせてビデオカメラを渡したようだ。
ビデオを撮っていれば席を立っても違和感がない。
離れた所から夢中で撮っている姿は
熱心にビデオ撮影をするハンサムな弟君
に見えていたことだろう。
たぶん彼女は下弟とお子さんのクラスメートが
同じ障害を抱えているとは思わなかったのではないか。
私は返事を書いた。
O(友人)ちゃんがとっても腹立たしい気持ちに
なっているのはよくわかるよ。
でも、家まで謝りに来てくれたそのお母さんは
きちんと子どもに向き合っている人だと思う。
私は高校生の頃障害児サークルに参加していたけど
子どもが不憫だからといって躾をせず甘やかし放題の
親や、この子は障害者なんだから何をしても仕方がないと
世間に対して開き直っている親を見てきたの。
だからなんとなくわかる。
そのお母さん、私の母とダブるんだ。
私の母、弟がトラブル起こすと今でも菓子折り持って
頭下げに行っているんだ。
私も謝るから、どうか許してあげてもらえないかな。
すぐに友人から返事のメールが来た。
ごめんね、Murphyちゃん。
私、自分のことばっかり考えてて
Murphyちゃんの弟さんのこと、すっかり頭から抜けてた。
自分が恥ずかしくてなんだか泣けてきちゃった。
発達障害の子どもを排除するようなことがないように
もう一度子どもや担任と話してみるよ。
よかった。私の思いをわかってもらえて。
友人は間違っていない。
誰だって自分の子どもが一番可愛いんだもの。
私だって自分の子が同じ目に遭ったら
彼女と同じように怒るだろう。
それでいいんじゃないかな。
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