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きょうだい児だった私が今まで歩んできた道   Since 2010
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もう一人のきょうだい児、とは上の弟のことだ。

上弟は母から溺愛されていたと私は思っていた。

小学生の頃、私は小遣いをもらっていなかったが
上弟は毎月少年雑誌を買ったりプラモデルを買ったりと
自分で自由に使えるお金を持っていたようだ。


中学・高校生の頃、学校に持って行く弁当を、
母は私には作ってくれなかったが弟達には作ってやっていた。

母は男の子が好きで、女の私のことを嫌っているのだと
思っていたのだ。

出産して少しの間実家にいた頃
両親がいない時に少し弟と話したことがある。

弟自身は、自分がかわいがられていたなんて
ほんの少しも思っていなかったのであった。

上弟は自閉症の弟が母のゴリ押しで校区の小学校に
入学したその日から、それは大変な思いをしたのであった。
そのことに対し、母は何のフォローもしてくれなかったのだと。

母は今でいうモンスターペアレントに近い状態で
先生方の不満や怒りが上の弟に向けられることもあったらしい。
上弟は通学団のメンバーやクラスメートだけでなく、
先生にまで虐められていたのだ。

下の弟が2年生に上がる時に、上弟は意を決して
母に助けを求めたらしいのだが

「そんなに嫌ならあんたが転校すれば?」

と言われただけであったらしい。
転校すれば?と言われてもまだ小学生の彼に
一体何ができただろう。

贔屓され可愛がられていたと思い込んでいた私は
随分と上弟に意地悪なことを言った。
あんたばっかり、ずるいって本気で思っていた。

違ったんだ。





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母は私が妊娠した時

「面倒見ないからね!」

と言ったのだが、現実に孫が生まれると
本当に可愛くて、そんな発言は忘れてしまったらしい。

おぶい紐やねんねこ(ママコート)を自分用に手作りしたり、
あれこれ赤ちゃんグッズを買ってきたり。

父は産院にビデオカメラを持って駆けつけ、
まだ寝ているだけの赤ん坊を延々と撮り続けていた。


引きこもっていた上弟が部屋から出て職業訓練校に通い出したのもこの頃だ。

下弟も落ち着いていた。パニックを起こして危険を感じた記憶が全くないのだ。

産まれたばかりの小さな小さな命が
バラバラでメチャメチャだった家族に幸せを運んで来てくれた。

拍手[11回]

結婚して1年が経った頃、私は妊娠した。

実家の近くに寄った時に
母に報告した。

「赤ちゃんができたよ。」

母の第一声は

「面倒みないからね。」

だった。

別に面倒見てもらおうなんて思っていなかったのに
どうしてそんな言い方するんだろうと悲しくなった。
私が勝手に母が喜んでくれると思っていただけなのか。

次の日、家で休んでいると母が訪ねてきた。
両手にスーパーのビニール袋を提げている。

「つわりはあるの?ご飯は食べられてる?」

ビニール袋の中にはみかんやクラッカー
タッパーに入ったお惣菜、小さな白いおむすびが
たくさん入っていた。

「私が暖かいご飯が駄目だったからね。
少しづつ食べられる時に食べたらいいのよ。
おかずはH君(夫)に出してあげたらいいわ。」

少しばかり世間話をしたのち、母は

「大事にするのよ。」

と言って帰って行った。

母が作ったおむすびを食べるのは何年振りだろう。

程良い塩味の小さなおむすび、とても美味しかった。

ありがとう、お母さん。
赤ちゃんができたこと、喜んでくれていたんだね。

私は、反射的に面倒は見ないと言ってしまった母の
今までの子育ての日々、これからもずっと続いて行くであろう
下弟との日々を思って、ちょっと切ない気持になった。

 

拍手[11回]

結婚してからも私は実家と同じエリアに住んでいる。

さすがにスープは冷めてしまう距離だが、車で10分も
走れば着いてしまう。

引越しをして少し落ち着い頃
母から連絡があった。
次の土曜日の夕飯を一緒に食べないか?
ただし、自分は出かけていていないので
父と弟達を呼んで、夫と5人で食べてくれと言うのだ。
私は実家の家族をまだ一度も呼んでいなかったので
新居に招待するつもりで快諾した。

偏食の多い彼らが食べられそうな献立を考え
ちょっと張りきって準備した。

さて当日。

約束の時間になっても一向に父と弟達は来ない。
途中で事故にでもあったのかと心配になって来た。
実家に電話してみる。
呼び出し音がなる。ツー、ツー、ツー・・・
10回ほど鳴らした頃、カチャッと受話器を取る音が聞こえた。

「もしもし?Murphyだけど。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「もしもし?」

「・・・・ウッ、ウッ、ウッ・・・・」

上弟が嗚咽しているようだ。

何があったんだろう?

私は夫にちょっと実家に行ってくるわと告げた。
夫は一緒に行こうか?と聞いてくれたが
一人で行くことにした。

実家に着くと、茶の間で父がムッとした顔で座っていた。

「どうしたの?何やってるの?心配したよ?」と言うと

父はムッとした顔のまま言った。

「おまえなぁ、こういうこと一度やっちゃうとな、
これからお母さんは何度でも言ってくるぞ。
下手すると毎週末実家の夕飯を作るはめになる。
お前はお父さんたちを食事に招待するだけの
つもりかもしれないが、招待するなら家族全員でないと
おかしいだろ?お前は結婚して別の世帯を持ったんだ
から、けじめをつけないと。」

母は父に、土曜日はMurphyの家で
夕飯食べてね、と言って出かけたらしい。

私は新居に招待したつもりだったのだが
実家ではそのように受け止められていなかったのか。

「わかった。帰るね。」

私はアパートに戻った。

夫は何も聞かなかった。
「ビール、飲むか?」と言って
私のグラスにビールを注いでくれた。

*       *        *

あれから20年近くの月日が流れたが
ただの一度も、実家の家族を食事に招いたことがない。




 

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30代の頃の私は、夫の転勤で地元を離れていた。

地元を離れても、何人かの友人とはメールで近況を
報告しあっていた。それは慣れない土地で暮らす私に
とって、ささやかな楽しみのひとつであった。

あるとき、友人の一人からメールが届いた。

その内容は、友人のお子さんのクラスに
発達障害の子がいること、そしてその子が
近くの席に座っていた友人のお子さんに暴力を
ふるったとのことであった。
幸いケガはなかったようなのだが、ノートや教科書を
鉛筆で刺されてズブズブにされていたようで
友人はそれを見てかなり頭に血が上ってしまったようだった。

後日担任とその子の母親が家まで謝りに来たそうだが
彼女は許せなかったようだ。
どうしてこんな危ない子どもを一般の小学校に通わせ、
普通学級に入れておくのか、こんな子は普通の子ども達と
一緒に過ごさせないでほしいと激しい言葉で書いていた。

さて、どんな返事メールにしたらよいものか、と考えた。

彼女の気持ちはよくわかる。
彼女のお子さんが遭ったことは、私の子ども時代の
日常であったから。

でも、発達障害の子の母親の気持ちもわかる。
それは、普段から目にしていた私の母の日常であったから。

彼女は私の下弟のことは知っている筈だった。
しかし、ただ、知っているだけなんだ、とその時初めて思った。

私の友人は私の結婚式の時に下弟に会っている。
下弟は、ビデオカメラを持たされてずっとビデオを撮っていた。

母がよぉく言い聞かせてビデオカメラを渡したようだ。
ビデオを撮っていれば席を立っても違和感がない。
離れた所から夢中で撮っている姿は
熱心にビデオ撮影をするハンサムな弟君
に見えていたことだろう。

たぶん彼女は下弟とお子さんのクラスメートが
同じ障害を抱えているとは思わなかったのではないか。

私は返事を書いた。

O(友人)ちゃんがとっても腹立たしい気持ちに
なっているのはよくわかるよ。
でも、家まで謝りに来てくれたそのお母さんは
きちんと子どもに向き合っている人だと思う。

私は高校生の頃障害児サークルに参加していたけど
子どもが不憫だからといって躾をせず甘やかし放題の
親や、この子は障害者なんだから何をしても仕方がないと
世間に対して開き直っている親を見てきたの。
だからなんとなくわかる。
そのお母さん、私の母とダブるんだ。
私の母、弟がトラブル起こすと今でも菓子折り持って
頭下げに行っているんだ。

私も謝るから、どうか許してあげてもらえないかな。

すぐに友人から返事のメールが来た。

ごめんね、Murphyちゃん。
私、自分のことばっかり考えてて
Murphyちゃんの弟さんのこと、すっかり頭から抜けてた。
自分が恥ずかしくてなんだか泣けてきちゃった。
発達障害の子どもを排除するようなことがないように
もう一度子どもや担任と話してみるよ。

よかった。私の思いをわかってもらえて。

友人は間違っていない。
誰だって自分の子どもが一番可愛いんだもの。
私だって自分の子が同じ目に遭ったら
彼女と同じように怒るだろう。

それでいいんじゃないかな。








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