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「で、いつもらってくれるって?」
母に彼のことを話した時、最初に言われたひとことである。
なによそれ、犬や猫の子じゃないんだからさ~
と心の中で突っ込みながら
「まだそんなことわからないよ・・・。」と答えた。
当時女性はクリスマスケーキなんて言われていた。
24までは飛ぶように売れるけど25過ぎたら売れ残りってことだ。
私はすでに売れ残りの年齢であった。
連休に彼が実家に帰省するたび、母は私に
「見合いしろ!」と言ったり(見合いする相手もいないのに)
「一緒に連れて行って親に紹介してもらえないのなら
遊びで付き合ってるだけでしょ、すぐ別れなさい!」と言った。
私だって結婚して家を出て行きたかった。
しかし、物事には順序やタイミングがある。
彼にはまだ私と結婚する意思はないのだ。
そして私は彼と別れたくないのだ。
それで十分だと思っていた。
配偶者のきょうだいが知的障害を持っていて
困っていることがあるというスレッドを見つけた。
(会員制のサイトなのでリンクを貼り付けられません。)
わかっていて結婚したんじゃないのか、今になって
何言ってるのという正論のレスポンスがいくつかあったが
きょうだいが障害者とかそういうこと以外でも
相手の置かれている状況をすべてわかった上で
結婚している人間などいるものか。
自身の損得だけで行動する人間ばかりだったら
この世は成り立たないだろう。
私の夫は家族の反対にあいながらも私と結婚してくれた。
だから夫はわかっているのかといえば、たぶんわかっていない。
知ってはいるけど、わかっていないと思う。
下の弟は自閉症という障害を持っている。
大声で独り言を言っていて会話が成り立たない。
そういったことを知っているだけ。
彼は下弟がパニックを起こしたところを見たことがない。
もし見ていたら、いくら楽観的な夫でも私と結婚して弟と
親戚になることを選んでくれなかったかもしれない。
* * *
結婚してすぐの頃、飲み会から帰ってきた夫が
「いや~驚いたよ。」と言うので聞いてみると
2次会で行ったスナックで隣り合わせた人が
姓名判断ができると言うのでみんなで紙切れに名前を書いて
その方に姓名判断をしてもらったのだそうだ。
夫は
「あなたは嫁さんのきょうだいの面倒を見ることになるかもしれないね。」
と言われたそうだ。
夫は素直に驚いている様子だったが私は叫びたいような気持になった。
結婚して20年ほど、今のところ夫には直接迷惑はかけていない。
でも、この先どうなるかはわからない。
まだブログの記事にしていないが、件の掲示板で相談されていたのと
似たようなことが数年前にあったのだ。
私は自分と自分の家族を守るのだ。
大切にする者の優先順位を見失ってはならない。
鬼娘、鬼嫁上等だ。
正論で攻めてくる人は何も知らない、何もわかっていない人達だ。
そんな人らの言う事に良心の呵責を感じる事はないのだ。
夫は私が勤めていた職場の同僚の友人だった。
あるきっかけで私の事を知った夫は、
同僚に紹介してくれと頼んだそうだ。
同僚は
「あんな女、やめておけ!」
と言って私を紹介しなかったらしい。
結婚した後で聞いた話である。
まぁ当然かなと思う。
あの頃の私、家庭の問題で心身ともに疲弊しきっており
お肌も心も荒んでいましたのでね。
目つきも悪かっただろうし、周囲にも黒いオーラを
出しまくっていたに違いない。
誰だって、そんな奴を大事な友人に紹介しようなんて
思わないだろう。
同僚は私の家族について何も知らなかったので
私が障害者のきょうだいであるからやめておけと
言ったのではない。
あくまでも、私個人に対して、友人に紹介などできないと
思ったようである。
しかし運命とは不思議なもので
それから半年ほど過ぎた頃
夫と私は付き合うことになったのだ。
最近職場にいる若い子が婚約した。とても幸せそう。
自分のことを振り返ってみると、
よく結婚できたものだとつくづく思う。
本当にキセキだったんじゃないか。
* * *
私が就職した頃から、母は私の結婚相手について
いろいろと画策していたようだ。
方々で年頃の娘がいると言っていたようだが
母曰く、必ず断られると言うのだ。
「あんたが大学なんか出ているせいで見合いの
相手が見つからないのよ!」
このセリフを何十回、いや何百回聞かされただろうか。
そんなわけないじゃん。
大学を出た同級生、見合い結婚している子がたくさんいた。
昭和から平成に入った頃、周りの大人が見合いを設定して
結婚するってこと、結構多かったのだ。
私の学歴は見合いを断るグッドエクスキューズだったんだろう。
だいたい、知的障害者のきょうだい&引きこもりニートのきょう
だいがいる女性と、自分の息子を見合いさせてまで結婚させよ
うという人間がいるだろうか。
国立大学を出ているような女性とうちの息子はつりあいませんと
言って断るのが相手にとっては最も角の立たないやり方に
違いない。
母はそんなこと露ほども思っていなかったようだ。
全部私のせいにして、私を責めた。
その頃の私、結婚などとても考えられなかった。
自分は愛される価値などない人間だと思っていたし
人を愛する価値もないと思っていたのだ。
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