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きょうだい児だった私が今まで歩んできた道   Since 2010
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下弟が私に卑猥な言葉をかけてくるようになってきたが
私はそれを聞き流して放っておいた。
熱病のようなものだろう、そのうちやめるだろうと思っていたのだ。

ある夜のことだった。
その日は2時間くらい残業して帰宅したので、9時頃だったろうか。
父は仕事で不在、ガレージに車がなかったので、母もどこかへ出かけているようだ。

玄関を開けると、玄関ホールの奥で下弟が毛布にくるまってうずくまっていた。

「?」

私は靴を脱いで上がりながら声をかけた。

「どうしたの?」

下弟がすっくと立ち上がった。はらりと毛布が床に落ちた。

「は?」

目が点になった。
下弟は全裸だったのだ。
声を出して笑いながら私に近づいて来た。

プチッ

私の心の中で何かが切れた音を聞いた。

「やめて~!!!」

押し倒される寸前、私は下弟を思いっきり蹴飛ばしていた。
一瞬ひるんだ隙に、下駄箱の上にあった置き物をつかんで
弟に投げつけた。
置き物は壁に当たり、バラバラに砕け散った。
私は鞄を振り回し、その辺にあるものを全部つかんでは投げ
うずくまった弟の背中を何度も蹴飛ばした。

なんなのよ、一体?
私が何をしたっていうの?
どうして、こんなのが私のきょうだいなの?
どうして、私がこんな思いをしなければいけないの?

姉の狼狽ぶりを見て、下弟は自分がしたことが
いけないことだったとわかったのか、
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
と言って泣き出した。

私も泣いた。
情けなくて、悲しくて。

玄関先で子どものようにわんわん泣いた。

そこへ母が帰宅した。
「あんたたち、何やってるの?」
何やってると聞かれても何も答えられなかった。
「もう嫌、もう嫌だよ。」
と泣きながら言うことしかできなかった。

母は下弟を部屋へ連れて行った。

戻ってきた母は私に言った。

「あんたはいいわよ。あと何年かしたら結婚して出ていくんだから。
私はあの子とこれからも一生付き合うのよ。
あんたはあと何年かのことなのに、どうして我慢できないの?」

結婚して出ていく?
誰がこんな家の娘を
お嫁にもらってくれるのよ?
あと何年かのことだから我慢しなきゃいけないの?
そんなの無理だよ、無理。
私は聖人君子じゃない。
ひとりの弱くて平凡な人間だ。
涙が止まらなかった。

*            *           *

それ以来、下弟が私に卑猥な言動をすることは一切なくなった。
それにしても、私が無事だったのは、年の離れた姉だったからかもしれない。
もし年齢が逆で、私が妹だったら、一体どうなっていたんだろう。
考えるとぞっとする。
それでも母は私に

「我慢できないの?」

と言うのだろうか。





 

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無題
本当に辛い話です。
辛い出来事を、よく書いてくださいましたね・・・
ありがとうございます・・・

ごめんなさいね、お母さまの批判になってしまうのだけど、
小さい頃から女の子に接する・・・特に接する時間の長いお姉さんに対しての態度をキチンと教えるべきでした。
弟さんが性の対象として身近なところに手を伸ばすのでは、と考えますよね。

我慢?そんなのありえないし、お母さんにはお姉さんの気持ちをフォローして欲しかったと思います。

しっかり「私は怒っている!こんなことをしたら、弟だからって許さない!」という態度を見せたのは良かったと思います。

本当に、我慢なんてありえませんよ!
アリッサム。 URL 2010/07/01(Thu)10:31:21 編集
胸がきゅっとなりました。
私たち、異性のきょうだい児は同じような経験をするんですね。
それにしても、お互いそういった時の親の対応が、もう少し何とかなって欲しかった…ですよね。その後、そういったことがなくなって良かったです。
私は、未だに兄と二人にはなれませんから…二人になるときは、ドア付近をキープして、自慰をする雰囲気になったり、近付いてきたりしたら退室するようにしています。
かな 2010/07/01(Thu)12:35:22 編集
アリッサムさんへコメントありがとうございます。
私も母には私の気持ちをフォローして欲しかったと今になっても思います。
本当に辛かったです。
アリッサムさんから優しいお言葉を頂いて、
やっぱり誰かにこのことを聞いて欲しかったんだと改めて思いました。
Murphy 2010/07/02(Fri)09:50:02 編集
かなさんへコメントありがとうございます。
かなさんが書かれた記事も読ませて頂きました。
その頃かなさんは中学生だったんですね。
そしてお母様の対応が、うちの母と同様
息子よりの発言・・・。
成人していた私でさえショックだったので
中学生だったかなさんはどんなに辛かったことでしょう。
涙が出そうです。

かなさんの記事やこの記事が、
今現在異性のきょうだい児を育てている
親御さんの目にとまり、注意を払って頂ける
ようになればいいのにと思います。
Murphy 2010/07/02(Fri)10:04:42 編集
無題
ご心配下さってありがとうございました。なんか疲れてしまってました。。。うちの弟は襲いかかってくることはなかったな。でも私が高校生の時お風呂に入ってたら何回か入ってきたかも。みなさんに比べたらかわいいもんな気もしますね。母親にとって、自閉症の息子っていつまでも子供だから。そういう男性の部分って見たくないし、認めたくないと思うんですよね。自分をいつも頼ってるというか。しかも、きっと余裕なかっと思います。必死に健常児にしようと。でも兄弟の気持ちも親として分かってほしいですよね。そういう傷って消えないから。
yuka 2010/07/04(Sun)17:59:25 編集
yukaさんへコメントありがとうございます
そうなんです!母にとって息子はいつまでも
可愛い子どもなんです!
だからわからないんですよね、
異性のきょうだいがどれだけ傷ついた気持ちに
なっているか。

yukaさんの弟さんはお風呂に入ってこられたんですか。それもなかなか衝撃的ですね。


結婚式前っていろいろ疲れますよね。
お体大切にしてください。無理しないで
疲れた時はしっかり休んでくださいね。
Murphy 2010/07/05(Mon)09:34:57 編集
無題
我慢できないの?
は本当に辛い言葉ですね・・・
幸いなのかどうか、うちは弟からそういう言葉をかけられたり、ということは一切なかったので
今でも弟と二人でいてもまったく何も思うところはないのですが
そういう悲しい経験があると
本当にずっと傷となって残っていくと思います・・・辛かったでしょう・・・
私は過去に何度も自閉症の話を描いてきましたが
こういう思いをしているきょうだいがいることに気づいていなかったようで本当に恥ずかしいです。
さきさわいずみ 2010/07/08(Thu)20:42:42 編集
さきさわさんへ コメントありがとうございます
さきさわさんの弟さんにはこういったことは
なかったんですね。
自閉症といってもひとりひとり本当にいろいろ
なんだなあと思います。
健常な人でも性欲の強い人とそうでない人が
いるのと同じなんでしょうかね・・・。
さきさわさんが描かれた自閉症の作品読んでみたいです。単行本化されないかなぁ~。
来月のフォアミセス楽しみにしてますよ。
Murphy 2010/07/09(Fri)09:28:30 編集
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